絵銭の価値は?
主な種類や特徴を紹介!
絵銭は、庶民が貨幣に似せて作り出したもので、買い物などに使えるような貨幣ではありません。記念品や子供が遊ぶおもちゃのお金などとして使われていたものなので、一般には流通していなかったのですが、見た目の面白さや美しさなどが、コレクターを中心に人気です。
種類によって描かれている図柄が異なるため、価値のある古銭として買取りの対象になっています。この記事では、絵銭の価値や人気の種類、特徴などについて解説します。
絵銭の概要
絵銭(えせん)は貨幣の形をしていますが、本物の貨幣ではありません。昔の子供たちが遊びに使っていたおもちゃのお金です。記念品として作られ、人々に配られたこともありました。もともと貨幣として価値のあるものではないので、見た目の美しさなどが認められ、徐々にコレクションとしての価値が出てきたものといえます。 絵銭は、室町時代から江戸、明治、大正時代までの間に、庶民の手によって、いろいろな目的で鋳造されました。表面や裏面に絵が描かれていることから絵銭と呼ばれています。絵銭の中には古銭としての価値を高く評価されているものがあるので、どのような絵銭の人気が高いのか、知っておくようにしましょう。 さまざまな絵柄があるたえ、コレクターが少なくありません。例えば、「浅間銭」の南蛮人図柄のものなどは人気が高く、保存状態が良ければかなり高額で買い取ってもらえる可能性があります。
絵銭の主な種類や特徴
絵銭にはさまざまな絵柄のものがあるため、どの種類の人気が高いのか、初心者にはわかりにくいかもしれません。少しでも人気の高いものを見分けられるように、ここからは、絵銭の主な種類や特徴について解説します。
絵銭 大迫銭(えせん おおはさません)
大迫銭は、江戸時代、慶応2年(1866年)に、盛岡藩の大迫銭座で、縁起物として鋳造されていたものです。絵銭は子どものおもちゃとして使われていたものですが、大迫銭は、おもちゃとしてではなくお守りとして扱われていました。
大迫銀座では、寛永通宝以外に絵銭の大迫銭が鋳造されていたといいます。錆によって劣化しやすい鉄素材でできているため、保存状態の良いものは特に評価が高く人気です。
当時農業が盛んだった盛岡では、猿が農耕馬の健康を守る動物として信仰の対象となっていました。そのため、大迫で鋳造された駒曳銭には、馬を曳く猿の姿が刻印されています。
大迫銭の中でも駒曳銭は金運のお守りとして鋳造当時から人気があったそうです。大事に保管されているものが古い蔵の中などから見つかることもあるでしょう。
大迫銭は、古銭としても高く評価されているので、絵銭コレクターだけでなく、古銭コレクターからの需要も期待できます。状態の良いものであれば、高額で買い取ってもらえるかもしれません。
五位堂銭 菊(ごいどうせん きく)
五位堂銭の五位堂は鋳物の鋳造で有名だった場所の名前です。銭と名付けられていますが、貨幣として流通していたものではありません。鋳物を鋳造する際、鉄が溶け残るので、職人たちが、石けり用の石として加工したものです。菊の模様がつけられていたため、五位堂銭菊と呼ばれます。江戸時代から明治時代にかけて鋳造されました。
絵銭の多くはおもちゃのお金として遊びで使われていましたが、五位堂銭菊に至っては足で蹴られていたおもちゃです。子どものおもちゃがいつの間にか価値が上がり高額で取引されるようになるというケースはほかにもありますが、価値の上がり方が大きく驚かされます。
土の上で蹴られていたものなので、錆が少なく状態の良いものは珍重されるでしょう。古銭の価値をよく知っている店で買い取ってもらうことが大事です。
水戸虎銭(みとこせん、みととらせん)
水戸虎銭は、名前が示す通り、水戸で作られた古銭です。江戸時代の慶応3年(1867年)に鋳造された、幕末の日本で鋳造された地方銭の一種です。もともとは、水戸藩の銭座が吹き始めの際に、記念としてまいた蒔銭(まきぜに)だったといわれています。地方銭なので、水戸の領内では貨幣として流通していたという変わり種の絵銭です。素材は銅で、中央には四角い穴が開いています。
片面には虎の絵が、片面には富国強兵の4文字が刻まれていますが、どちらが表なのかは諸説あるのが現状です。絵銭は彫りの深い方が表となることが多いため、虎の絵が刻まれている方を表とする説が目立ちます。
虎の絵が人気の水戸虎銭は、状態によって買取価格が大きく変わってくるため、きちんと鑑定してもらえる古銭買取を得意とする買取店に査定してもらうとよいでしょう。