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その他の穴銭の価値は?
主な種類や特徴を紹介!

穴銭には、すでに紹介済みのもの以外にも多くの種類があります。真ん中に穴を開けることで鋳造に必要な素材の量を減らせるので、まだ高度な鋳造技術がなかった時代でも貨幣にしやすかったからです。

さまざまな素材で作られており、民間で鋳造されたものも少なくありません。時代的な背景も感じられる面白いものもあるので、穴銭を中心にコレクションしているコレクターもいるほどです。ここからは、バリエーションが豊富なその他の穴銭について紹介します。

その他の穴銭の概要

穴銭とは、中央に穴が開いている古銭のことです。古銭の中央の穴は、丸いものと四角いものがあります。穴銭と呼ばれるのは、主に穴の形が四角い古銭です。ちなみに、丸い穴が開いたものは、古圜法(こえんぽう)といいます。 流通していた貨幣だけでなく、民間で作られた貨幣も含めると、穴銭と呼べるものの数は莫大です。穴を開けることで素材の量を減らせるので、室町時代から江戸時代初期にかけて、民間では鐚銭(びたせん)と呼ばれる粗悪な貨幣も鋳造されました。支払を渋るときに使われる「びた一文払わない」の「びた」の語源が、この鐚銭です。 主なその他の穴銭としては、鐚銭(びたせん)以外に元和通宝(げんなつうほう)、寳永通寳(ほうえいつうほう)、開元通宝(かいげんつうほう)、皇宋通宝(こうそうつうほう)、洪武通宝(こうぶつうほう)、永楽通宝(えいらくつうほう)などが挙げられます。絵銭のように流通用ではなく玩具として作られた貨幣にも四角い穴が開いているものが多く、穴銭に含まれると考えてよいでしょう。

その他の穴銭種類や特徴を紹介

その他穴銭の中にも、コレクターからの人気が高いものがあります。高値で取引されることもあるので、どのような穴銭が人気なのか確認しておきましょう。ここからは、コレクターに人気がある主なその他の穴銭の種類や特徴を紹介します。

元和通宝(げんなつうほう)

元和通宝は、江戸時代の元和元年(1615)~3年(1617)ごろに鋳造された穴銭です。直径約24ミリの円形で、中央には正方形の穴が開いています。素材は銀と銅で、重さは約2.6グラムです。鋳造年代は1615年とも1616年とも言われていますが、元和通宝についての正式な記録はありません。そのため、詳細な鋳造年代や鋳造枚数などは不明です。

表面は、上下右左の順で「元和通寶」の4文字が刻まれています。一方、裏面のデザインは刻印のないものと、穴の下部に「一」の字が刻まれているものの2種類です。

裏円の「一」のデザインについては諸説あります。鋳造年代とされている元和元年を表すという説と、天下統一の一だという説が有力だといわれていますが、真実は定かでありません。

貞享通宝(じょうきょうつうほう)

貞享通宝は、江戸時代の貞享元年(1684年)に鋳造された穴銭です。江戸幕府の5代将軍・徳川綱吉の時代、天和4年2月21日が讖緯説で政治上の変革が起こるとされる甲子革令に当たることから、その厄災を避ける目的で、元号が貞享と改元されました。元号が貞享と変わったこの年に鋳造された銀銭が貞享通宝です。表には「貞享通寶」の4文字が、裏には「甲子」の2文字が刻まれています。

流通目的で鋳造された貨幣ではなく、家臣の恩賞用に鋳造されたものです。試鋳銭にとどまってしまったため、鋳造数自体が少なく、現存しているものがあまり多くありません。

希少性が高いため、状態の良いものはかなり高額で買い取ってもらえる可能性があります。買取を希望するのであれば、正しく価値を評価できる、古銭買取専門の業者に査定してもらう必要があるでしょう。

二字宝永(にじほうえい)

二字宝永は、江戸時代の宝永4年(1707年)に鋳造された穴銭です。宝永通宝の発行に先立って、宝永4年に試鋳されました。表には左から右に向かって「寳永」の2文字が、裏面には上下左右の順番に「万代通用」の4文字が刻まれています。

試鋳銭として鋳造されたため、そもそも鋳造された枚数が多くありません。最初の枚数が少ない分、現存枚数も少なく、非常に価値の高い古銭だといえます。きれいな状態で残っているものはさらに少ないので、状態がよければ、かなり高額で取引されることになるでしょう。

古銭の真贋や状態の良し悪しは、素人目にはわかりにくいものです。価値の高い古銭が正しく査定されるのはもったいないので、買取を依頼するなら、古銭買取りを専門とする業者で正確な査定をしてもらうことが大事です。

咸豊通宝(かんぽうつうほう)

咸豊通宝は、江戸時代、清王朝の第9代皇帝咸豊帝の時代の咸豊元年(1851年)に作られた中国古銭です。銅銭と鉄銭の2種類があり、金種も当五、当十、当百、当五十、当百、当千の6種類あります。

金種ごとに、貨幣の大きさや重さが異なるので、全種類をそろえたいというコレクターも少なくありません。希少価値の高い貨幣ですから、金種の違うものがそろっていると、査定金額が高くなるはずです。状態の良ければ、さらに高額での買取も期待できるでしょう。

ただし、近代になって作られた模造品も多く見つかっています。購入する場合も買取を依頼する場合も、適正な価格で取引できているか、しっかり確認することが大事です。素人目には真贋の判定が難しいので、取引する場合は古銭買取の専門業者に鑑定を依頼することをお勧めします。

慶長通宝(けいちょうつうほう)

慶長通宝は、江戸時代の慶長11年(1606年)に、永楽通宝に代わる銭貨として幕府の命により鋳造された貨幣だといわれています。幕府が一から製造した鋳型で鋳造さしたものと、永楽通宝の鋳型から「永楽」の文字を削って鋳型を作り直し、鋳造に利用した私鋳銭が存在します。本物の慶長通宝でも鋳造方法や書体などが異なるものがあるため、正確な目利きが必要です。

古いものなので刻印がはっきりしないものが少なくありません。刻印の文字がはっきりしていなくても高値がつくことが多い貨幣なので、真贋の判別は信頼できる専門家にしてもらう必要があるでしょう。種類によっても状態によっても価値に差が出るので、購入や買取依頼の際には古銭の専門業者に鑑定を依頼することをおすすめします

鐚銭(びたせん・びたぜに)

鐚銭は、室町時代、安土桃山時代、江戸時代の各時代を通じて鋳造された粗悪な貨幣で、さまざまなものがあります。室町時代から江戸時代の日本で、海外で鋳造された渡来銭や皇朝銭をそのまま型に用いるなどして、私的に鋳造しているのが特徴です。偽物ができやすい状態で流通用の貨幣を作っているので、本物なのか偽物なのかという判別が難しい貨幣だといえます。

流通していた渡来銭などから鋳型を起こしているため、通常の貨幣よりも文字が読めないものや縁がつぶれているものがほとんどです。状態の良いものがあれば、とても貴重なので、かなりの高額で取引される可能性があります。

実際のサイズよりも一回り小さくなってしまっているものもあるので、専門家でなければ、本物なのか偽物なのかを判別するのは難しいでしょう。中には価値の高いものもあるので、買取を依頼するなら、専門買取業者に鑑定を依頼することをお勧めします。

叶手元祐(かのうげんゆう・かのうでげんゆう)

叶手元祐は、江戸時代に日本国内で私鋳された鐚銭の一種です。宋で鋳造された「元佑通宝」を鋳型に利用したため、表面には「元佑通宝」と同じ銭文が刻まれています。裏面は、「口」と刻まれているものと「叶」と刻まれているものがあるので、元の元佑通宝と区別するため、「叶」と呼ぶようになりました。

裏面に叶の文字が刻まれた銅銭と刻まれている文字が異なっても、書体が共通している一群の銅銭を叶手元佑と呼んでいます。裏面に刻まれた文字には、「叶」以外にも、「一」や「八」「真」などがあり、バリエーションが豊富です。

何も刻まれていないものもあるので、真贋の見極めには専門家の目利きが欠かせません。叶手元祐には高額取引されるものもあるので、鐚銭の一種だからといって適当な扱いをしてしまうと、損をしかねません。

元禄開珍(げんろくかいちん)

元禄開珍は、江戸時代の元禄6年(1693年)に、民間で鋳造された絵銭の一種です。河川の形をしていますが、流通用の貨幣ではありません。絵銭は、庶民の間で貨幣に似せて作られたもので、子どものおもちゃやなどとして使われていたものです。江戸時代に国内で流行しており、お守りなど信仰の対象として扱われるのが一般的でした。

元禄開珍の場合、表には時計回りの向きに「元禄開珎」の4文字が、裏には、「一ト」の文字と鶏の絵が刻印されています。穴が開いているので穴銭ですが、絵が刻まれているので絵銭でもあるため、どちらのコレクターからも人気のある古銭です。

貨幣に似ているだけで流通していた貨幣でないにもかかわらず、刻印がはっきりしている状態の良いものは、古銭としての価値も高く高額買取の対象となります。

淳熙元宝(じゅんきげんぽう)

淳熙元宝は、南宋の第2代皇帝孝宗の時代に鋳造された貨幣です。日本の鎌倉時代と同時期で、日本には貿易を通じて宋銭が入ってきていました。素材は銅と鉄です。

南宋で鋳造された貨幣の裏面には、鋳造された年数が刻印されています。番号が振られている銭貨なので、南宋番銭と呼ばれ、コレクターも多い貨幣です。淳熙元宝の場合、数字は七から十六までのものが存在しています。文字の書体は真書、篆書、隷書体の3つのタイプがあり、種類によって異なる価値で取引されているのが現状です。

ものによって買取価格が変化するため、買取を依頼する際には、価値を正確に判断してもらう必要があります。宋銭についても詳しい、古銭の専門業者に鑑定を依頼する安心です。

太平通宝(たいへいつうほう)

太平通宝は、太平興国元年、北宋の第2代皇帝太宗の時代に鋳造された銅銭です。日本では平安時代にあたるころで、銭貨が不足していたので、宋との取引の際に入ってきた貨幣をそのまま取引に利用していました。日本に渡来銭として入ってきた貨幣なので、普通に日本国内で流通していたはずです。貨幣の表面には「太平通寶」と刻印されていますが、裏面は無紋です。

太平通宝と呼ばれる古銭には、宋から持ち込まれたもののほかに、私的に鋳造された絵銭や鐚銭なども含まれていたようです。どこまでが古銭としての価値があるものなのか、偽物として価値がないものなのか、素人にはわかりにくいかもしれません。太平通宝としてどれくらい価値があるかを知りたい場合は、古銭買取りの専門家に鑑定を依頼するようにしましょう。

朝鮮通宝(ちょうせんつうほう)

朝鮮通宝は、李氏朝鮮の粛宗5年(1425年)から李氏朝鮮の手によって鋳造が始まった銅銭です。日本では室町時代にあたる時期で、貿易の際に日本に入ってきて、取引に利用されていました。国内でも、室町時代の遺跡を発掘する際、渡来銭として発掘されることがあります。

朝鮮通宝の銅銭1枚に対して米一升という高いレートでの交換が認められていましたが、当時は一般には貨幣を利用する習慣があまりありませんでした。物々交換がメインだったこともあり、一般にはあまり受け入れられず、すぐに鋳造されなくなってしまいました。

鋳造期間が短く、鋳造された枚数も少ないので、良い状態で現存しているものは珍しく貴重です。厳密には日本の古銭ではありませんが、古銭コレクターの間では集めている人がおり、古銭取引の対象になっています。

皇宋通宝(こうそうつうほう)

皇宋通宝は、北宋時代の中国で鋳造された貨幣で、平安時代に日本へ大量輸出されてきました。寛永通宝ができる以前は、日本国内で最も流通していた渡来銭です。表面には「皇宋通宝」の文字が刻印されていますが、裏面は何も刻印されていません。表に刻まれている文字の書体が真書体のものと篆書体のものがあります。

もともと大量に鋳造され、大量に輸入されたものなので、一般的な取引相場は安い貨幣です。しかし、古い時代の銅銭なので、良い状態で残っているものはあまりありません。

刻印がはっきりしているものや、形のしっかりしているものは少ないので、状態が良ければ高額での買取も期待できます。古銭は状態が良ければ需要があるので、適正な価格で買い取ってもらえるよう、古銭買取りの専門業者に査定を依頼することが大事です。

洪武通宝(こうぶつうほう)

洪武通宝は、中国の明代、皇紀2028年(1368年)に鋳造されるようになった銅銭です。日本の室町時代にあたる頃、貿易で日本に入ってきたので、寛永通宝が鋳造される以前は渡来銭として利用されていました。

洪武通宝の特徴は、鋳造地を示す文字が貨幣の裏側に記されているものがあるという点です。北京、浙江、江西、広東、福建などの文字が刻まれているものが存在します。書体が違うものもあり、バリエーションが豊富な貨幣です。

古いものになるので、きれいな状態で現存しているものは案外少なく、刻まれている文字や書体によっては高値で取引されます。買取を希望するのであれば、種類によって価値が異なるので、貨幣の価値を正確に判別できる専門家に査定を依頼するのがおすすめです。

開元通宝(かいげんつうほう)

開元通宝は、中国の唐代に鋳造された貨幣です。和同開珎の手本となった貨幣としても知られています。現在では、上下右左の順に「開元通宝」と読むのが一般的ですが、当時は、和同開珎と同様に、時計回りで「開通元宝」と読んでいたという説もあります。

開元通宝は、1000年もの長い期間流通したので、16分類273種もあるといわれています。文字の書体もさまざまで、真贋の判断が難しい貨幣の1つです。

素人では、273種類もの貨幣を見分けるのがむずかしく、近代になって作られたレプリカなんか、バリエーションの範囲なのかを見分けられない可能性があります。本物の価値を見誤らないためにも、買取依頼や購入をする場合には、古銭の専門家に見分けてもらった方が良いでしょう。

永楽通宝(えいらくつうほう)

永楽通宝は、永楽9年(1411年)に明で鋳造された貨幣です。室町時代の日本に、日明貿易によって入ってきました。慶長13年には江戸幕府からの通用禁止令が出されましたが、それ以降も寛永通宝などに混じって利用されていた渡来銭の1つです。織田信長が旗印に利用したことでも有名で、古銭コレクター以外からも人気があります。

永楽通宝は、金製、銀製、銅製の3種類があり、価値にも大きな差があるのが特徴です。金、銀、銅では素材そのものの価値も違うので、差があるのは当然ですが、希少性も異なります。

最も価値が低い銅製の希少価値の高い字体が使われているものが高額で取引されることが珍しくありません。穴の位置がずれていたり、穴が二重に開いていたりするエラーコインも通常より高額になりやすいので、もし手元にあるなら、専門家にきちんと鑑定してもらうとよいでしょう。